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朧八大接心と心臓手術

京都の有名な金閣寺や銀閣寺などの住職の有馬頼底さんの書かれた「雑巾がけ」から始まる 禅が教えるほんものの生活力という本を読んでいたら、心臓手術を受けることと通じるものがあるなあと感じられた頁があったので紹介したいと思う。

禅寺のことについては全く無知な私ですが、この本には次のようなことが書かれています。
「禅寺で毎年12月1日から8日にかけて行われる大変厳しい修行に「朧八大接心(ろうはつおおぜつしん)」というものがある。その昔、お釈迦さまが悟りを開いたのは、1週間を一つの単位として座禅を続け、それを7回繰り返した49日目で、それが12月8日であったとのこと。よって、この期間、朝の3時から夜中の12時までほとんど不眠不休でひらすら座禅を繰り返すことで、お釈迦さまの悟りにあやかる。ただひたすら座りこもりきりで1週間を終えて外に出ると、世界が新鮮に輝いて見える。生まれ変わったように、目に入る全てのものが新鮮に映る。周囲は何も変わっていないのに、自分自身の感じ取る力に変化が起きる。そうして、普段の自分が如何に物事を見ているようで実は見ていなかったかに、改めて気づく。ぎりぎりのところまで自分を追い込むことによって、人間本来の力や感覚を研ぎ澄まし、取り戻す」

心臓手術を受けることを決心して、入院して手術を受けリハビリをこなして退院に至る。合併症を併発せずに順調な方であれば術後10日ほどで退院できる。退院後の周りの見え方、ものの感じ方は術前のそれとは大きく異なるのを経験している訳だが、ひょっとして丸1週間ひたすら座禅を繰り返す禅の朧八大接心を終えた時の感覚と心臓手術を終えた時の感覚には近いものがあるのではないかと思った次第である。

この本に書かれていることは、上記以外の部分でも今の自分、今後の自分の生き方の参考になる文章が多かった。もし機会があればお手にして読んで頂ければと思う。

有馬頼底 「雑巾がけ」から始まる 禅が教えるほんものの生活力

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テレビ撮影後記 ~三つ葉葵さん編~

ある日の夜、普段滅多に鳴らない私のスマホに着信が入った。
画面に表示された発信元の電話番号に心当たりはない。誰かなと思いながら応答すると、

「ナブチですが・・・」

「えっ、南淵先生?」

どういう用件なのか想像するが、何も思い当たる節がなく、一瞬頭が真っ白になる。

用件は、「健康診断を普段から定期的に受けていたにも関わらず、心臓病が発見されず、結果的に心臓手術の直前になってはじめて心臓病だと知るに至った」というケースに該当する患者を、とあるテレビ局の医療番組で探しているとのこと。

カムバックハート、テレビ初出演か!と一瞬喜ぶが、実は私の心臓手術を受けた経緯はそれに当てはまらない。残念!

そこで、そういうケースに該当する患者を誰か紹介して欲しいとのこと。

ちなみに、病院にある患者のカルテには術前の情報はあまり詳しく書かれていないらしく、病院側でそういったケースの患者を見つけるのが案外難しいらしい。

健康診断で見逃されたという話は(元)患者仲間から実は頻繁に聞く。むしろ、あらかじめ心臓病が分かっていて経過観察の末、心臓手術に至ったというケースの方が少ないのではないかというくらい。

ところが、いざ思い出そうとすると「はて、誰がそうだったっけ?」と該当者が案外思い浮かばない。(元)心臓病仲間の代表としてテレビ出演に推薦するのだから推薦役の私も責任重大。

「いや、待てよ。そうか!身近な(元)心臓病患者仲間に一人いるじゃない!最適な人が!」

それは、三つ葉葵さんだった。

早速、三つ葉葵さんにテレビ出演をメールで打診。

「え~!私が! ちょっと考えさせて下さい~」

・・・・・・・・・・・・・・・・

そして、数日後。

三つ葉葵さんと番組制作会社の打ち合わせが持たれた。そして、三つ葉葵さんの心臓手術を受けるまでの経緯をインタビュー撮影する日程が決まった。ここはやはりカムバックハートも撮影現場を見学しなくてはこのブログ記事も書けないということで、会社の半日休暇を取り、元麻布のカフェで行われた収録現場にお邪魔することになった。ひょっとしたら現場の状況次第でカムバックハートの共演もあり得るのかなという期待も抱きながら、あらかじめ散髪もし小奇麗な容姿で向かったのだが・・・その期待はあえなく実現しなかった(笑)

テーブル横の大きな窓から差し込む夏の明るい太陽光がカフェ内部の白塗りの壁に柔らかい反射している。さすが、プロが選ぶ撮影現場だ。インタビュー撮影に最適な隠れ家的なカフェであった。そこでの三つ葉葵さんは、目がキラキラと輝き、肌が澄んでいてまさに女優さんのようだった。

収録は2時間近く行われた。質問に答える形で三つ葉葵さんが健康診断や人間ドックを受けて一度も心臓病だという指摘がされたことがなかったこと。それなのに、ある日突然に心臓病を宣告され、その1ヶ月後に南淵先生の初診、更にその1ヶ月後には心臓手術を受けていたという心臓手術を経験するまでのドラマチックな経緯。それを終始明るい表情で語り続ける三つ葉葵さん。番組の主旨として、「では一体どうすれば健康診断でちゃんと病気を見つけてもらうことができるのか?もしくは、健康診断に対する別の考え方も持つべきなのか・・・」。その解を探ろうとするインタビュアーとの熱の入ったやり取りであった。

インタビュー撮影の数日後、南淵先生をはじめスタジオでの収録が行われて完成した番組は、今週月曜日、午後8時からのゴールデンタイムに全国主要都市で放送された。

こりゃ、凄い!


(本番前の打ち合わせ中:撮影者 番組制作会社のスタッフさん)



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緊急連絡!

緊急連絡!

来週放映の「主治医が見つかる診療所」に三つ葉葵さん出演!

8月12日(月)夜7時54分~
テレビ東京系列で放映

お見逃しなく! もちろん、南淵先生もご出演です。

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たかしげさんの感想文

たかしげさんから届きました「一途一心 命をつなぐ」の感想文です。

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    「一途一心 命をつなぐ」 を読んで        天野 篤 教授 著

 天皇陛下の冠動脈バイパス手術予定と内容のTV見ていた。高齢であり同年齢であるが手術内容は大きく違っていた。オフポンプ手術では心臓が緩やかだが脈動しているので手元が狂うだろう。冠動脈は太い血管で約4㎜と聞く、ここにグラフト血管(細いバイパス血管)を縫いつける。縫い目が粗く不完全だと体内に出血して命とりになりかねない。執刀医は精神統一と手先の器用さが勝負で匠職人のように精緻なスキルを備えていなければならない。ここに一途一心の精神統一が必要なのだろう。

自分の手術が成功し二年が経過して「一途一心 命をつなぐ」を求め夢中で読んだ。
この本には天皇陛下の手術の内容はほとんど記述されてない。教授の謙虚さがうかがえる。総じて平易な文章で読み易く気負う個所は見当たらない。随所に命をつなぐ心意気が感じられた。オフポンプでもいくら時間がかかろうとも治さなければ死に結び付く。胸を閉じ縫合して終わりでなく、平常の行動ができるよう回復しなければ本当の成功、治癒とは云えない。この覚悟に胸を打たれる。術中予期せぬ患部の異常に突きあたる。その難題を即座に判断してスタッフに指示し処置する素早いレスポンスと心構えや能力に神技を感じる。術中にチームスタッフが才知とスキルを結集したチームワークの大切さを知った。自分の手術中の無の世界がこの本で補われた感がする。
病院内の具体的な改革までも気を遣われている。後に続く若い医師に厳しく育てることで伝承する義務感で腐心している情熱が伝わってきた。

視点を置き換えると他の分野でも見倣うべき教訓と思う。ものつくりの分野で戦後日本の発展を担ってきた基幹産業では石油精製・石油化学・発電・原子力・新幹線etc.がある。これらのプラントは目的やものを造り出すために命があるが如き脈動し、活動している。プラント配管内は血液のように流体が流れ、バルブは開閉し制御され、ポンプは動き、電気は流れ、神経のように計装機器は作動している。命ある身体のようだ。
命ある身体のようなプラントを設計・製造し据え付け稼働させる技術。運転・管理さらに保守・点検と一連の作業のエンジニアリングスキル。そしてこれらに携わる技術者を育成、伝承することは医術の分野と酷似している。
この分野でも著書題名を「一途一心 命を造る」に置き換えても過言ではないだろう。
「一途一心命をつなぐ」には仕事論、リーダー論までもが熱い思いで語られている。
プラント技術者のバイブルとしても一読に値する良書と思いちょっと堅い読後感だが感服した。  了     

        たかしげ 2013-3-19

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看護とは・・・

前回記事の天野篤先生の著書、、「一途一心、命をつなぐ」について、もうひとつ書き加えておきたいことがあった。それは、第六章の中にある「”陰の看護部長”です」という部分について。

天野先生は、看護の仕事の核心は「思いやり」だと仰っている。患者の痒いところに手が届く看護、それを先回りして、そろそろ痒くなりそうだという時を見計らって掻く準備をしている。そういう看護だそうだ。

これを読んだ時、私の入院中にお世話になった二人の看護師さんのことを想い出した。一人は心臓手術直後のICUでお世話になったIさんと、もう一人は、昨年11月の鼠径ヘルニア手術後HCUでお世話になった看護師さんのお二人だ。

Iさんはひたすら明るいその性格で、手術直後の患者の気持ちをとにかく明るくしてくれる。麻酔覚醒後間もないにも関わらず、ICU 滞在中の記憶がICU看護師さんのケアの様子と共に今でもかなり鮮明に脳裏に蘇ってくるのは、その瞬間が心地良いものであったからに違いない。心地良くないこと、嫌なことはさっさと忘れてしまう私の性格だからそれは間違いない。患者に聞かれていることを分かっていてか分からずなのか、Iさんと周りの病院スタッフとの専門的な会話はこれまた患者の気持ちを実は励ましてくれていたのは医療関係者にとっては意外な事実だと思う。

昨年の鼠径ヘルニア手術でHCUに滞在したその日のこと。術後、麻酔から徐々に覚めてきて、創の痛みがジワジワと痛み出しはじめた。暫く我慢していたがそろそろ辛くなってきたその時、「そろそろ痛み止めを入れましょうか?」とすかさず聞いてくれた看護師さん。炎症反応で熱が出始めたときにも「これを頭の下に入れると気持ちいいですよ」とアイスノンを持ってきてくれた。それから、手術室を出てから寝たきりだったので背中が痛みだしてきたその時、これまた「そろそろベッドを少し上げてみましょうか?」と聞いてくれた。全て、ナースコールをかける直前の出来事だ。「はい」と答えたものの、切って縫ったばかりの創が気になり僅かなベッドの傾きさえもまだとても神経質になっていた。それを一気に電動ベッドの角度をあげられたりしたらこりゃ辛いぞと一瞬不安がよぎった。だが、その私の不安は全てお見通しであったようだ。言葉では表現しにくいのだが、生まれたばかりの赤ん坊をあやすかの如く、たかが電動ベッドの角度をあげるだけの些細なことではあるが、その看護師さんは患者の記憶に強く残るような完璧な対応(看護)を行ったのだ。その方は、決してベテラン級の看護師さんの年齢には見えない。かなり若い方であった。

「そうした看護のレベルに達するには相当の努力が必要なのは言うまでもない」と天野先生の本に書かれている。

患者が望んでいること、これから望むであろうことを事前に察知できる、そして、絶妙なタイミングで行動する。またその動作スピードも適切。看護の世界にも、経験と努力の積み重ねで高められる質と、生まれながら持っている看護のセンスのようなものもあるのかもしれない。

自分が診てもらう病院や手術をしてもらう執刀医を患者が選ぶのと同じように、もし術後のケアをしてくれる看護師を指名できるならば・・・「今回の心臓手術の後は、○○看護師さんにICUでのケアをお願いします」というように。本当に患者を思いやってくれる質の高い看護を受けられるなら追加料金を払ってもよいかもしれない。医療における患者への思いやり。それは、患者にとっては例え病気の治療による苦痛があろうとも、結果として入院中に心地の良い時間を過ごせたと、あとから想い出させてくれるような看護のことなのだと思う。

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プロフィール

Author: カムバックハート

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カムバックハートこと、鍋島と申します。神奈川県川崎市在住の51歳男性。

2008年12月に40歳で心臓の僧帽弁形成手術を受けて、第二の人生をスタートさせることができました。

南淵先生と私

南淵先生と私(術後の初外来にて)


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但し、私は医者やカウンセラーではないので医学的なご質問にはお答えできません。初めて連絡下さる方は簡単なプロフィールをお願い致します。

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お知らせ
このブログは、私が心臓弁膜症の僧帽弁閉鎖不全症という病気に診断されたところから、入院、手術、退院、その後の生活という流れで時系列に記載しています。手術を受けた時の描写は2008年12月の状況ですので、その後の医学の進歩で内容的に古くなっている部分があるかもしれません。実際の患者にしか分からない心理的な面の記述をできるだけ表現したつもりです。最初から読まれる場合は、「★はじまり ~こちらからご覧下さい~

(元)心臓病仲間のアンケートを企画・回答集計しました(2018年秋)。これから心臓手術を受ける方にはとても参考になるデータだと思います。アンケート集計結果はこちらの記事へ

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南淵明宏先生の公式サイトにある「勇患列伝」 その7に出てくる「平松」とは私のことです。

yomiDr.のサイトにある世相にメス 心臓外科医・南淵明宏ブログ にこのブログのことを書いて頂きました。こちらの記事には第三回(元)心臓病仲間の集まりについて書いて頂きました。
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