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書籍紹介: 「まんが 医学の歴史」 「ナイチンゲール伝 図説 看護覚え書とともに」 茨木保著

茨木 保先生は、産婦人科医と漫画家という二つの職業を持たれている方です。現在は開業(いばらきレディースクリニック)されていますが、以前は、大和成和病院の婦人科部長もされていたそうです。南淵先生の著書に特徴をつかんだ分かり易いイラストを描かれていたのでお名前は以前から知っていました。

先日、新横浜ハートクリニックの外来ロビーに患者の時間潰し用に茨木先生の本が置いてあるのを手にとって眺めてみました。

一冊目は、「まんが 医学の歴史」 茨木保著 医学書院です。
人類の誕生から今日に至るまで医学がどのようにそして誰によって発見発展してきたのかを分かりやすく解説した本です。シーボルト、北里柴三郎、野口秀夫などの名前は、小学校や中学校で習ったので誰でも聞いたことがあります。でも、いざ具体的に何をされた方なの?となると記憶が怪しくなります。この本には、全身麻酔法や消毒法の発見、X線や抗生物質、DNAの発見など、素人だけど医学に興味のある方にとってはかなり引き込まれる内容が盛り込まれています。人体の中身を投影できるX線の発見時の人々の驚きやその恐怖の様子は、「最初にX線を発見した人はきっとそう思うだろうなぁ」と思いました。

2冊目は、「ナイチンゲール伝 図説 看護覚え書とともに」 茨木保著 医学書院です。
ナイチンゲールの名前を知らない人はいないでしょう。でも、彼女がどのような人生を送ったのかについては私は全く無知でした。このマンガを読む限りは、看護の現場で一生働き続けた方というイメージではありません。当時まだ看護という職業、地位、法体制など何もない時代にそれらを一から作り上げた、しかも、そのやり方は徹底して現場の状況分析に基づく理論的な論文を書きあげて権力のある人達を説得納得させて世の中を動かした人という印象を受けました。またこの本の後半には、ナイチンゲールが著した「看護覚え書」が載っています。看護の本質的なノウハウ集といったところでしょうか。看護師でなくても、自分の家族の介護や看病の際に役立ちそうな心構えも書かれています。現在では当たり前ととらえられる内容が多いのですが、それらを当たり前と感じる医療を受けることができる現代の我々は幸せかもしれません。

興味を持たれた方は眺めて見る価値のある本かと思います。





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映画: アウェイク (2007年 アメリカ)

GYAOで現在無料視聴可能な映画、「アウェイク」 (2007年 アメリカ)を観ました。

(全米?で)年間2100万人が全身麻酔を受けるそうですが、そのうち、約3万人は、眠りにつくことができない術中覚醒という状態になるのだとか。。。肉体的には完全に麻痺状態だが、意識があり手術室の中の医師やスタッフの会話も聞こえるとのこと。0.14%の確率(1000人に14人)ですが、果たして本当なのでしょうか。それともフィクションなのでしょうか。

映画の内容については、心臓移植手術においてそういう術中覚醒がどのようなものなのかということと、人の信頼を完全に裏切る全く持って許せない医療行為のサンプルという二つの側面を観ることができました。まあ、術中覚醒を含めて作り物というストーリー仕立てではありますが、この事件の原因は医療訴訟に苦しむ医療者側の苦悩であるようなので、訴訟王国アメリカではありえなくもない話かなと思ってしまいます。胸骨の正中切開で、例のノコギリが出てきます。それで胸骨を切った後、開胸器をはめて胸を開くのですが、開きすぎたのか肋骨がポキッと折れてしまいます。「こりゃ、明日痛むぞ~」と呑気な医者の会話がでてくるのですが、胸骨正中切開経験者にとっては笑える場面ではありませんね。実際にはガバッと胸骨を開け開いても弾力性があるみたいなので、映画のようにポキッということはありえないと思いますが。。。

実際の手術では、点滴管から麻酔薬を投与されることでほんの数秒で意識はなくなるのが全身麻酔だと思います。ちなみに口にかけられたマスクから麻酔薬が流れてくる訳ではありません。あれは酸素。わたしは、過去に心臓手術と鼠径ヘルニア手術の時の2回全身麻酔を経験しています。大腸ポリープ切除術を受けた時も、ほんの数十秒間だけ意識が飛ぶ軽い麻酔か鎮痛剤をかけられました。いずれの時も、麻酔下での覚醒という経験はありません。手術室の中で、魂が肉体から離れて、上空から自分の肉体が手術を受けている様子を俯瞰して眺めるという話を聞いたことはあります。人間の肉体と魂を意識的に分離させることも訓練すれば可能らしいので、ありえない話ではなさそうです。ひょっとして、そういう経験された方って、このブログの読者でいらっしゃいますでしょうか?(松本良順さんが確かそんな経験があると言っていたような・・・)。 

わたしが高校生の時に、バイクに乗っていた自分が右折してきた車と交差点で衝突するという交通事故に出会いました。その時、わたしのバイクにぶつかってきた車の運転手と助手席に座っていた二人を「上空」から見つめた記憶があります。あれは、車に衝突する寸前のわたしの肉体から魂が一時退避するべく上方向に飛びあがった幽体離脱だったのではないかと思っています。幸い、その事故では大きな怪我はせずに済みました。ですが、その事故の後、家に帰る途中でなんとその日2度目のバイクの交通事故に遭遇してしまったのです。今度は頭を打ち意識喪失して入院することになってしまったのでした。運ばれた病院の看護師さんに同じ日に2度交通事故に会った珍しい患者さんと言われました。結果、特に治療を必要とせずに後遺症も無く1週間の入院で無事退院できたのは幸いでした。運転に対する意識が甘かった若い時の苦い思い出です。

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ドクターG 8/23(水) 22:25~23:15 NHK 南淵先生ご出演

ひでほさんから、コメント欄に情報を頂いて知りました。
8/23(水) 22:25~23:15 NHK ドクターG に南淵先生がご出演です。
(再放送は9月9日(土)10時05分からとのこと。)

昨年の放送では狭心症・心筋梗塞がテーマだったので、今回は弁膜症かなと個人的には想像しています。ですが、番組紹介のホームページには「「ろれつが回らない」」としか書いてありません。さてどういう内容でしょうかね。

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「半分の月がのぼる空」 「貴顕」

弁膜症の主人公が登場する小説の話。比較的有名なところでは、「半分の月がのぼる空」 橋本紡 でしょうか。手持ちの文庫本は2003年が初版ですが、調べたらその後、アニメ、TVドラマや映画にもなっているようです。小説以外は私は観てませんが。魅力的な女の子が心臓弁膜症ということで興味が深まるのと、ヤンキー上がりの看護師さんがなんとなく実在していそうなキャラで読んでいて楽しかったです。Tri-Xという白黒フィルムで写真撮影する話や、男なのにケーキ作りが趣味の脇役も印象に残っています。

一方、多分ほとんどの方が知らないと思われるマイナー系では、「貴顕(きけん)」 三島由紀夫を上げてみましょう。三島由紀夫全集19巻に収録されている短編です。主役の登場人物が心臓弁膜症でやがては死に至る訳ですが、その病状進行の過程が、以前読んだ『闇にあっても光を』 関 茂子の関さんのそれと似ている気がしました。小説の舞台背景も関さんの時代に近いので心臓手術という選択肢はこの小説では現れてきません。心臓病を患っている患者の精神状況の見事な描写が素晴らしい。取材に基づく執筆だと思いますが(巻末の注釈によると28歳で亡くなった三島由紀夫の先輩をモデルにしているとのこと)、自分が患者本人ではないのに、患者の病気の進行とともに変化する日常生活における哲学的思考の変わりようを文章で的確に表現している。なかなか書けませんね。こんな文章は。三島由紀夫の偉大さが感じられます。
(文学に興味の無い方にはお勧めでないかも。)

この他にも、心臓弁膜症の主人公が登場する「小説」をご存じの方がいらっしゃたらコメント欄からお知らせ頂ければ幸いです。

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南淵先生の著書 『ナースのちから(第2版)』

南淵先生の著書『ナースのちから』は、第1版が、CABG手術編という副題がついている冠状動脈バイパス手術がメインの内容だったが、昨年発行された第2版は新たに弁膜症手術の内容が加えられた。



弁膜症手術については、大動脈弁狭窄症(AS)と大動脈弁閉鎖不全症(AR)に対して行われる大動脈弁置換術(AVR)、そして私が受けた僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対する僧帽弁形成術(MVP)の実際の術式や術後管理について詳しい説明がある。手術が適応となる客観的検査数値、弁のどこをどのように切って、縫うのか、術後に起こりうる突然の急変や不整脈についてなど、とても興味深い。術後の管理については、バイパス手術でも弁膜症手術でも、同じ心臓手術なので違いは少なそうだ。

『単元や用語を孫引きして活用していただくような本ではない、というイメージです。理系というより文系的な本、解説書というより物語風な内容だ、とご理解ください。』と冒頭に南淵先生が書かれている。心臓外科医が看護師向けに書いた本であるが、医学の専門書的な雰囲気はあまり感じられない。豊富なイラストやマンガは茨木保先生によるもの。ユーモアたっぷりでこれが実に面白い。また心臓や手術中の写真があり、世の中で起こった実際の医療ミスや訴訟などのエピソード、南淵先生自身が手術室で経験されたヒヤっとした場面の描写なども、医学知識の無い、我々(元)患者にも、容易に理解できる内容だ。患者にとって細かい薬の名前や検査の内容などは分からなくても良い。医者や看護師が、患者のどこをどのように診て、判断し、患者への対応を行っているのかが分かるのが、答えを見ながら問題集を説いている学生のような感じで面白い。

既に心臓手術を経験した患者なら、当時、患者である自分を周りの医者や看護師がとってくれた対応の意味を、客観的に思い返すことができるかもしれない。P.200 「いっちゃってる!ICUシンドローム」は、経験された方も多いと思うICUで味わうあの特殊な感覚が何なのか、またその対処方法を医学的に説明してある。ちなみに、ICUシンドロームって、男性にしか見られないそうです。P.213の漫画、ナブチ先生っぽくって笑えますね。P94.心停止の方法。こうやって心臓って止めるのかぁ。 P.31 大動脈弁が正常に三枚ある人が大動脈弁狭窄症になる確率は0.4%なのに、二尖弁の人は50%の確率で大動脈弁狭窄症になると言われているとか・・・

手術はうまくいったはずなのに、術後ICUで、突然原因不明の出血が発生することがあるそうだ。患者を手術室に戻して、再開胸するのか、このまま様子を見るのか。再開胸の判断を巡っての、医療人の心理や精神状態の説明はなるほどそういうこともあるのだなぁと思わせる。そして、それ故、如何に自分自身が信頼できる病院や医者選びが重要かを、この点からも改めて認めることができる。

『ナースのちから』は第1版も持っているので、見比べると、今回の第2版には「あとがき」も追加されてページ数も30頁程増えている。

心臓手術を受けられた方で、心臓手術に関する医学的なことを少しは理解したいという方にはご一読をお勧めしたい。自分は典型的な文系思考だという方でも、問題なく楽しく読んでもらえるのではないかと思う。

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プロフィール

Author: カムバックハート

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カムバックハートこと、鍋島と申します。神奈川県川崎市在住の50歳男性。

2008年12月に40歳で心臓の僧帽弁形成手術を受けて、第二の人生をスタートさせることができました。

南淵先生と私

南淵先生と私(術後の初外来にて)


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このブログは、私が心臓弁膜症の僧帽弁閉鎖不全症という病気に診断されたところから、入院、手術、退院、その後の生活という流れで時系列に記載しています。手術を受けた時の描写は2008年12月の状況ですので、その後の医学の進歩で内容的に古くなっている部分があるかもしれません。実際の患者にしか分からない心理的な面の記述をできるだけ表現したつもりです。最初から読まれる場合は、「★はじまり ~こちらからご覧下さい~

(元)心臓病仲間のアンケートを企画・回答集計しました。これから心臓手術を受ける方にはとても参考になるデータだと思います。こちらの記事へ

コルコバード


南淵明宏先生の公式サイトにある「勇患列伝」 その7に出てくる「平松」とは私のことです。

yomiDr.のサイトにある世相にメス 心臓外科医・南淵明宏ブログ にこのブログのことを書いて頂きました。こちらの記事には第三回(元)心臓病仲間の集まりについて書いて頂きました。
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