外来心臓リハビリテーション
心臓リハビリ
心臓手術を受けた後は、心臓リハビリに取り組むという大きな楽しみがある。
心臓手術を受けたら、数カ月はベッドの上で絶対安静。運動なんてもってのほか。危険極まりない。心臓が止まってしまったり、修復した弁が壊れてしまうのでは?と多くの方が思っているように私も入院前はそう思っていた。
心臓手術についての本を読み、入院して入院患者やリハビリ室の理学療法士の先生から直接話を聞いて、その認識は実際とかなり違っているということに気付く。実際には術後は少しでも早く体を動かし始める方が結果的に回復が早くなるのだそうだ。
心臓病専門病院には、それこそ心臓リハビリ室なるリハビリ専門の部門がある。

リハビリと聞くと、辛いもの、動かない体を歯を食いしばりながら無理やり動かして頑張るものというイメージがあるが、心臓リハビリは違う。苦しみとは無縁で、体を動かすことによる充実感、爽快感を得ることができて実に気持ち良い。楽しみと書いた理由はそれだ。
胸骨正中切開した後のリハビリの実際は、まずは、ベッドから自力で起き上がることから。私の場合は手術翌日の朝、ICUのベッドから自力で立ち上がり、そのまま一人で一般病棟まで20m程歩いたのが最初。手術翌日の夜には、トイレまで点滴を持ちながら一人でスタスタと歩いていけるようになった。徐々に歩く距離を増やしていく。階段昇降もやる。そして、術後3、4日もすればリハビリ室へご招待となる。そこでの運動は、自転車こぎやベルトの上の歩行。大きなボールや紐を使った筋力トレーニングなど。

運動内容は、上記に加えて、更に、実際の社会復帰を前提としたプログラムが組まれている。例えば、片手に2kg程度の荷物を持って歩く運動をベルトコンベヤーの上で行ったり、洗濯バサミを挟む訓練を行ったり・・・。退院して直ぐに家事を始めなくてはならない主婦の方にとっても実に実践的なリハビリである。

リハビリ運動中はリアルタイムに心電図や血圧、心拍数が計測されていて、もし何か心臓に異常が発生すれば直ぐに察知できるようになっている。専門の理学療法士の方が傍に付き添って居て下さる安心感は大きい。ちなみに希望すれば退院後も心臓リハビリに通うこともできるようだ。

退院前日の最後の心臓リハビリの日にはリハビリ修了証書が授与される。それを思いがけずリハビリ室長から手渡される時の患者の気持ちは、「心臓手術を乗り越えたぞ! 頑張ったんだぞ!」という自身の気持ちが一気に昇華して涙溢れる瞬間であるようだ。と、まるで人ごとのように書いているのは、実は私はリハビリ修了証書をもらっていないから。私の入院していた頃にはリハビリはあれども修了証書を発行してもらえるというプログラムはまだなかったのだ。進歩しつつある心臓リハビリ室のメンバーが考え出した素晴らしいアイデアだと思う。

退院後も自宅療養においてリハビリは続く。それまで弁の逆流があるが故に人一倍頑張って負荷運動をしていた心臓。術後、治療が施され逆流の分の余計な力が必要なくなった心臓。新たな状況に適応するまでは様々な体の違和感も起こり得る。決して無理はせず、体の回復を暖かく見守り、体調の変化を楽しみながらリハビリ続けることができれば良いと思う。
順調な回復であれば、術後1カ月経てば体の自由はかなり効くようになり、3カ月も経てば術前に比べて数倍の元気な体力と強い精神力を得ることができていると思う。

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心臓手術を受けたら、数カ月はベッドの上で絶対安静。運動なんてもってのほか。危険極まりない。心臓が止まってしまったり、修復した弁が壊れてしまうのでは?と多くの方が思っているように私も入院前はそう思っていた。
心臓手術についての本を読み、入院して入院患者やリハビリ室の理学療法士の先生から直接話を聞いて、その認識は実際とかなり違っているということに気付く。実際には術後は少しでも早く体を動かし始める方が結果的に回復が早くなるのだそうだ。
心臓病専門病院には、それこそ心臓リハビリ室なるリハビリ専門の部門がある。

リハビリと聞くと、辛いもの、動かない体を歯を食いしばりながら無理やり動かして頑張るものというイメージがあるが、心臓リハビリは違う。苦しみとは無縁で、体を動かすことによる充実感、爽快感を得ることができて実に気持ち良い。楽しみと書いた理由はそれだ。
胸骨正中切開した後のリハビリの実際は、まずは、ベッドから自力で起き上がることから。私の場合は手術翌日の朝、ICUのベッドから自力で立ち上がり、そのまま一人で一般病棟まで20m程歩いたのが最初。手術翌日の夜には、トイレまで点滴を持ちながら一人でスタスタと歩いていけるようになった。徐々に歩く距離を増やしていく。階段昇降もやる。そして、術後3、4日もすればリハビリ室へご招待となる。そこでの運動は、自転車こぎやベルトの上の歩行。大きなボールや紐を使った筋力トレーニングなど。

運動内容は、上記に加えて、更に、実際の社会復帰を前提としたプログラムが組まれている。例えば、片手に2kg程度の荷物を持って歩く運動をベルトコンベヤーの上で行ったり、洗濯バサミを挟む訓練を行ったり・・・。退院して直ぐに家事を始めなくてはならない主婦の方にとっても実に実践的なリハビリである。

リハビリ運動中はリアルタイムに心電図や血圧、心拍数が計測されていて、もし何か心臓に異常が発生すれば直ぐに察知できるようになっている。専門の理学療法士の方が傍に付き添って居て下さる安心感は大きい。ちなみに希望すれば退院後も心臓リハビリに通うこともできるようだ。

退院前日の最後の心臓リハビリの日にはリハビリ修了証書が授与される。それを思いがけずリハビリ室長から手渡される時の患者の気持ちは、「心臓手術を乗り越えたぞ! 頑張ったんだぞ!」という自身の気持ちが一気に昇華して涙溢れる瞬間であるようだ。と、まるで人ごとのように書いているのは、実は私はリハビリ修了証書をもらっていないから。私の入院していた頃にはリハビリはあれども修了証書を発行してもらえるというプログラムはまだなかったのだ。進歩しつつある心臓リハビリ室のメンバーが考え出した素晴らしいアイデアだと思う。

退院後も自宅療養においてリハビリは続く。それまで弁の逆流があるが故に人一倍頑張って負荷運動をしていた心臓。術後、治療が施され逆流の分の余計な力が必要なくなった心臓。新たな状況に適応するまでは様々な体の違和感も起こり得る。決して無理はせず、体の回復を暖かく見守り、体調の変化を楽しみながらリハビリ続けることができれば良いと思う。
順調な回復であれば、術後1カ月経てば体の自由はかなり効くようになり、3カ月も経てば術前に比べて数倍の元気な体力と強い精神力を得ることができていると思う。
