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術後十五回目の外来

冬は寒い。その寒さを以前より厳しく体感するようになったのは、術後も引き続き体重を落として内脂肪という自然のコートが薄くなったためだろうか。逆に、暑さにはとても強くなった。昨年の夏も、暑くてたまらないと感じた日はなく、エアコンを使わない生活も決して不可能ではなかった。自分が快適と感じる気温のゾーンがここ数年で上へ数度ずれたような気がする。

さて、そんな厳しい寒さの中、術後十五回目の外来診察に行ってきた。今回は大きなトピックはなかった。体調も変わらず、検査結果も変わらず、先生の説明も変わらず、深津さんの笑顔も変わらず。ありがたく何も変わらないいつもの外来であった。唯一の変化と言えば、これまで3カ月毎の外来の度に、心エコーの検査を受けていたのだが、次回の外来では心エコーの検査は必要ありませんとのこと。今後は、隔回の外来で心エコー検査を行うようだ。

診察の予約を同じ日に合わせていた三つ葉葵さんも今日の外来だった。同じ時間に受付し、検査を一つづつ済ませていく。男性患者の場合は、レントゲンを撮るのも、心電図を撮るのも、ぱっと上着を脱いでしまえばよい。着替えに時間は掛からず検査技師さんの視線も気になることはなく至って簡単。しかし、女性患者の場合は、そういった各検査で服を脱ぐという作業は少し面倒なことなのだと三つ葉葵さんの話を聞いて知った。ちなみに、東京ハートセンターの心エコー検査は、女性患者に対しては基本的に女性の検査技師の方が対応しているようだ。

外来後、南淵先生と深津さんから、入院中の患者さんを二人紹介された。お一人は、僧帽弁を弁置換されたバレーボールの選手のような長身の女性の方。紹介を受けて驚いたのが、なんと彼女のご主人も南淵先生から大動脈弁の弁置換手術を数年前に受けられていたこと。実は、3カ月前の外来の病棟で、深津さんから紹介を受けたある(元)心臓病患者の方が、実はその女性の旦那様であったのだ。つまり、ご夫婦共に、南淵先生の弁置換手術を受けられたのだ。このようなケースもあるのだ。そう言えば、千住真理子さんのお母様の千住文子さんも、亡くなられた旦那様が弁膜症であったと「千住家の命の物語」に書かれていたので、ご夫婦で弁膜症になられた訳だ。

先日読んだ、「「心臓の暗号 心臓は思考し、細胞は記憶する」」に書かれていた内容がふと思い出された。

人は脳で考えた思いを言葉で他人に伝達するが、同じようなコミュニケーションを心臓同士が、心臓が発するある種のエネルギーによって行っているのだと書かれている。ひょっとして、今日お会いした彼女と彼女の旦那様の心臓同士がお互いに何かを語り合ってお二人が魅かれていったのではなかろうか・・・

心臓病を宿っていたり心臓手術を体験した人は、心臓のことを人一倍意識するが故か、若しくは無意識であったとしても通常の人達よりもより強い心臓エネルギーを発散させているような気がしている。だから、心臓手術経験者が集まった際は、まるで古くからの知己の如く初対面から親近感を感じ、会話は尽きず、充実した時間を過ごすことができるのではなかろうか。これは、私が話を聞いてきた多くの心臓病仲間が同感している認識だ。

さて、本日お会いしたもう一人の方は、同じく南淵先生から大動脈弁の弁置換術を年末に受けられた方だ。前回の外来で紹介を受けた方が私と同じ会社に勤める方であったのと同様に、今回お会いしたこの方も同じ勤務先の方であった。南淵先生が気を利かして私に紹介してくれたのだ。毎日自分が通う会社に、実は弁膜症を経験した方が結構いるものだなと思った。職場に復帰されたら、社内の南淵チルドレン3人によるランチ会を社内食堂で企画したい。

お二人とも、明日が退院予定日とのこと。見た目は元気一杯。すぐにでも社会復帰可能な様子だ。女性の場合は、実際に退院したらすぐに家事という仕事が待っている。

三つ葉葵さんによると、彼女も退院後すぐに家事を行わなくてはならなかったそうだ。買い物は、ネット買い物で自宅まで届けてくれるサービスを利用。洗濯物のハンガーを物干し竿にかけるのが胸骨に負荷がかかり一苦労したとのこと。家事をしない男性には分からない術後のプロセスがあったのだと知らされた。



さて、前回の外来記事でアナウンスした外来後の小規模集まりは、ブログで呼びかけしたにも関わらず残念ながら参加希望者が集まらず、開催見送りとなった。

外来が近づいてくると、良い検査結果をもらいたいがために、アルコールを控えたり、食事や運動に気を配ったりして、皆さん、摂生を行っていると思う。私もそうだ。加えて、空腹時血糖値の検査結果が知りたいので検査の日は朝食を抜いている。その反動で、外来後は、大空を自由に飛ぶ羽を得た鳥の如く、ビールを大目に飲んだり、多少塩分の多い食事も良しとしてしまうことがある。自戒の念が足りないなぁと少し反省。と言いつつ、今日も、三つ葉葵さんとそうした食事とお酒の時間を過ごしたあと、帰路に着いたのだった。

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プロフィール

Author: カムバックハート

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カムバックハートこと、鍋島と申します。神奈川県川崎市在住の55歳男性。

2008年12月に40歳で心臓の僧帽弁形成手術を受けて、第二の人生をスタートさせることができました。

南淵先生と私

南淵先生と私(術後の初外来にて)


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このブログは、私が心臓弁膜症の僧帽弁閉鎖不全症という病気に診断されたところから、入院、手術、退院、その後の生活という流れで時系列に記載しています。手術を受けた時の描写は2008年12月の状況ですので、その後の医学の進歩で内容的に古くなっている部分があるかもしれません。実際の患者にしか分からない心理的な面の記述をできるだけ表現したつもりです。最初から読まれる場合は、「★はじまり ~こちらからご覧下さい~

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南淵明宏先生の公式サイトにある「勇患列伝」 その7に出てくる「平松」とは私のことです。

yomiDr.のサイトにある世相にメス 心臓外科医・南淵明宏ブログ にこのブログのことを書いて頂きました。こちらの記事には第三回(元)心臓病仲間の集まりについて書いて頂きました。
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