心臓血管外科医の数の話
厚生労働省が令和元年12月19日に発表した「平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」という統計資料があります。
それによると、平成30年12月31日現在の全国の医師の数は327,210人とのこと。そのうち、心臓血管外科を主たる診療としている医師の数は、3,214人。医者の総数の1%程しか心臓外科を専門にしている医者はいないようです。日本で心臓手術を受ける場合、この3,214人のうちの誰かに執刀してもらうことになる訳ですね。但し、この数字には、自ら執刀医として執刀できるレベルにまだ到達していない若い先生も含まれています。ちなみに、広告することが可能な医師の専門性に関する資格として、心臓血管外科専門医として認定されている医師の数は、2,129人だそうです。
男女比でみると、医者全体の男女比率は、男性が約78%、女性が22%です。しかし、これを、心臓血管外科医に絞ってみてみると、男性の心臓血管外科医が全男性医師の約1.2%で、女性の心臓血管外科医は、全女性医師の約0.3%とのこと。計算してみると、男性の心臓血管外科医が約3,000人、女性の心臓血管外科医が約200人強になります。私は身近なところでは女性の心臓外科医の先生にお会いしたことは僅かに一度しかありませんが、絶対数が少ないので納得です。そういえば、宇宙飛行士の向井千秋さんは、慶應義塾大学病院で心臓血管外科医をされていたようです。
次に、心臓血管外科医3,214人の平均年齢ですが、45.8歳とのこと。診療科別の平均年齢でみると、比較的低い年齢のようです。ちなみに、内科医の平均年齢は58.6歳です。一般の外科医の平均年齢も53.2歳なので、心臓血管外科医の方が一般外科医より約7.4歳も平均年齢が若いようです。これは私の想像ですが、心臓外科医の仕事がよりハードで過酷なので体力的に若くないと務まらないのか、それとも、年齢を重ねて一流のベテランとして生き残ることが難しい診療科目なので、ある程度の年齢に到達したら内科医など別の科に異動してしまう先生が多いのでしょうか。
人口10 万あたりの医師数は全国平均で246.7 人。これを都道府県別にみると、徳島県が329.5 人と最も多く、次いで京都府323.3 人、高知県316.9 人。少ない方は、埼玉県が169.8 人、次いで、茨城県187.5 人、千葉県194.1人。神奈川県も少ない方ですが、隣接する東京都は300人以上と関東圏の中では飛びぬけて多いです。東京都に医療機関がかなり集中しているようです。また、東日本よりも西日本の方が、人口あたりの医師の数は多いようです。
心臓手術を経験していなければ、このような統計に興味は持たなかったでしょうね。
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それによると、平成30年12月31日現在の全国の医師の数は327,210人とのこと。そのうち、心臓血管外科を主たる診療としている医師の数は、3,214人。医者の総数の1%程しか心臓外科を専門にしている医者はいないようです。日本で心臓手術を受ける場合、この3,214人のうちの誰かに執刀してもらうことになる訳ですね。但し、この数字には、自ら執刀医として執刀できるレベルにまだ到達していない若い先生も含まれています。ちなみに、広告することが可能な医師の専門性に関する資格として、心臓血管外科専門医として認定されている医師の数は、2,129人だそうです。
男女比でみると、医者全体の男女比率は、男性が約78%、女性が22%です。しかし、これを、心臓血管外科医に絞ってみてみると、男性の心臓血管外科医が全男性医師の約1.2%で、女性の心臓血管外科医は、全女性医師の約0.3%とのこと。計算してみると、男性の心臓血管外科医が約3,000人、女性の心臓血管外科医が約200人強になります。私は身近なところでは女性の心臓外科医の先生にお会いしたことは僅かに一度しかありませんが、絶対数が少ないので納得です。そういえば、宇宙飛行士の向井千秋さんは、慶應義塾大学病院で心臓血管外科医をされていたようです。
次に、心臓血管外科医3,214人の平均年齢ですが、45.8歳とのこと。診療科別の平均年齢でみると、比較的低い年齢のようです。ちなみに、内科医の平均年齢は58.6歳です。一般の外科医の平均年齢も53.2歳なので、心臓血管外科医の方が一般外科医より約7.4歳も平均年齢が若いようです。これは私の想像ですが、心臓外科医の仕事がよりハードで過酷なので体力的に若くないと務まらないのか、それとも、年齢を重ねて一流のベテランとして生き残ることが難しい診療科目なので、ある程度の年齢に到達したら内科医など別の科に異動してしまう先生が多いのでしょうか。
人口10 万あたりの医師数は全国平均で246.7 人。これを都道府県別にみると、徳島県が329.5 人と最も多く、次いで京都府323.3 人、高知県316.9 人。少ない方は、埼玉県が169.8 人、次いで、茨城県187.5 人、千葉県194.1人。神奈川県も少ない方ですが、隣接する東京都は300人以上と関東圏の中では飛びぬけて多いです。東京都に医療機関がかなり集中しているようです。また、東日本よりも西日本の方が、人口あたりの医師の数は多いようです。
心臓手術を経験していなければ、このような統計に興味は持たなかったでしょうね。
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No title
黒鉄です。
>心臓血管外科医の数の話(2020-02-08 | カムバックハートさん)
のテーマに似た話です。
先日、マンションでAED使用講習会がありました。
講習会の先生は男性=消防署職員。
AEDを練習する体験者は男性。
体験であってもAED被験者は男性。
それでもって、
https://www.mbs.jp/mint/news/2019/06/07/070182.shtml
「AED使用で救命率2倍」なのに、"女性には使いにくい"現実。
AED使用時は必然的に、胸に触ったり、触られたりするので
(とくに心臓マッサージとか、人工呼吸とか)
AEDの練習であっても、女性は関わりにくい。
AEDによる女性の救命率は男性の半分なのです。
これに対する対策は、
(とりあえず)
女性がAEDの扱いを習得する事だと思うのであります。
>心臓血管外科医の数の話(2020-02-08 | カムバックハートさん)
のテーマに似た話です。
先日、マンションでAED使用講習会がありました。
講習会の先生は男性=消防署職員。
AEDを練習する体験者は男性。
体験であってもAED被験者は男性。
それでもって、
https://www.mbs.jp/mint/news/2019/06/07/070182.shtml
「AED使用で救命率2倍」なのに、"女性には使いにくい"現実。
AED使用時は必然的に、胸に触ったり、触られたりするので
(とくに心臓マッサージとか、人工呼吸とか)
AEDの練習であっても、女性は関わりにくい。
AEDによる女性の救命率は男性の半分なのです。
これに対する対策は、
(とりあえず)
女性がAEDの扱いを習得する事だと思うのであります。
普通救命講習
黒鉄さん
コメントありがとうございます。
普通救命講習は、勤め先の会社で以前受けたことがあります。
https://comebackheart.blog.fc2.com/blog-entry-74.html
でも、もう10年も前でした・・・講習受講証をもらいましたが、確か有効期限は
2年間だったかと。定期的に訓練受けたないと、本当に必要な場面で対応できない
かもしれません。
AEDの使用方法だけではなくて、小さな子供さんをお持ちの方なんかも、のどに
ものを詰まらせた場合の対応など、救命講習で得る知識は役に立つと思います。
コメントありがとうございます。
普通救命講習は、勤め先の会社で以前受けたことがあります。
https://comebackheart.blog.fc2.com/blog-entry-74.html
でも、もう10年も前でした・・・講習受講証をもらいましたが、確か有効期限は
2年間だったかと。定期的に訓練受けたないと、本当に必要な場面で対応できない
かもしれません。
AEDの使用方法だけではなくて、小さな子供さんをお持ちの方なんかも、のどに
ものを詰まらせた場合の対応など、救命講習で得る知識は役に立つと思います。
No title
面白い統計ですね。
心臓血管外科医については、ヤッパリといった感じです。
参考になりました。
心臓血管外科医については、ヤッパリといった感じです。
参考になりました。